債務整理

 借金を抱えているけれども、「収入が減少しあるいは出費が増加して」返済が苦しくなってきた等、生活設計でお困りの場合には、以下のような解決方法があります。

(1)任意整理
裁判所などの公的機関を介さずに、弁護士が代理人となって消費者金融やクレジット会社などの債権者と交渉し、借金の減額や支払期間の延長などを行って月々の収入の範囲内で返済を可能にする方法です。
<メリット>
・弁護士に依頼することで、消費者金融などからの請求が止まります。
・債務額を減額できることがあります。
・過払金(※)が発生している場合には、その返済を請求できます。
 ※過払金とは、利息制限法の定める利率を超える高利の借入を強いられたため、法律上必要な額の返済は終了しているのに、なお、返済を続けさせられたことによって生じた払い過ぎた金銭のことを言います。
<デメリット>
・交渉に時間を要し、解決まで年月を要することがあります。
・信用情報機関に登録され、5~10年、住宅ローンを組んだり、クレジットカードを利用することが出来なくなる可能性があります。

(2)自己破産
借金の返済が困難になった場合に、裁判所に申し立てて、最終的に借金の返済を免除(免責)してもらう手続きです。
全く資産がなく、ギャンブルや浪費といった借金の返済を免除してもらえない事情がない場合(免責不許可事由がない場合と言います)には、破産手続きの開始と同時に破産手続きを終了させて、免責手続きに入ります(同時廃止事件)。資産がある場合や、免責不許可事由がある場合には、破産管財人が選任され(破産管財事件)、債権者集会を経て免責手続きに進みます。
同時廃止事件では、申立てから免責が確定するまで約4か月程度かかります。
<メリット>
・弁護士に依頼することで、消費者金融などからの取立てが止まります。
・自己破産によって、一部の債務(税金、悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権、養育費など)を除いて、債務の返済をしなくてよくなります。
・破産をしても仕事にも家族にも法的な影響はありません。
<デメリット>
・自己破産をすると、官報に掲載されます。
・免責許可決定が確定する迄は、警備員、生命保険募集人、証券外務員など一定の職業には就けなくなります(免責許可決定が確定すれば復権し、資格制限もなくなります)。
・信用情報機関に登録されますので、5~10年、住宅ローンやクレジットカードを利用することが出来なくなる可能性があります。

(3)個人再生
借金などの返済ができなくなった場合に裁判所に申し立てて、返済総額を減らしてもらい、その減らした後の金額を原則3年間で分割して返済する再生計画を立て、その計画通りの返済をする手続きです。
個人再生では、住宅資金特別条項を利用すれば、住宅を残したまま、債務を大幅に減額することが出来ます。「他の債務の支払いは困難だけれども、住宅ローンだけは支払いたい」という方には有用な制度です。
<メリット>
・弁護士に依頼することで、消費者金融などからの取立てが止まります
・返済が一時停止されます。
・大幅に債務を減額できます。
・住宅を残すことが出来ます。
・職業や資格の制限はありません。
<デメリット>
・信用情報機関に登録されますので、5~10年、住宅ローンやクレジットカードを利用することが出来なくなる可能性があります。
・手続きが煩雑で、裁判所への予納金などの費用がかかります。