刑事手続
当事務所では、刑事事件にも積極的に取り組んでおります。
刑事事件は自分には関係のないことだとお考えの方も多いかもしれませんが、自転車を運転中に事故を起こせば、刑事責任を問われかねません。
ご自身だけでなく、ご家族、ご友人まで含めますと、刑事事件に関わることは決して珍しいことではありません。
そこで、刑事事件における弁護人の役割を、簡単にご紹介させていただきます。
1 刑事事件における弁護人の役割
身に覚えのない罪で、長期間の身体拘束や有罪判決を受けることがないよう検察官や裁判官に主張を行うことは、刑事事件における弁護人の役割のひとつですが、弁護人の役割はこれだけにとどまりません。
罪を犯してしまった方の話を聞き、一緒に社会復帰に向けて計画を立て、二度と犯罪に関わらないよう更生の手助けをすることも弁護人の重要な役割です。
また、被害者にお詫びをし、犯罪により生じた被害の回復や軽減のための活動に取り組むことも弁護人の重要な役割です。
このような弁護人の活動について、「逮捕→勾留→起訴→裁判」という典型的な刑事事件の流れに沿ってご説明します。
2 逮捕された方のための弁護活動
(1)納得できない「供述調書」の作成を防ぎます
逮捕されますと、逮捕の日から最大23日間、身体を拘束される可能性があります。この間に取調べが繰り返され、自分の話した内容と異なる等、納得できない「供述調書」が作成されてしまうおそれがあります。
このような「供述調書」が作成されてしまいますと、裁判において内容を覆すことは極めて難しく、不利益な結果を招きかねません。
また、取調べの際に何気なく話したことが、思わぬ不利益を招くことも珍しくありません。
そこで、逮捕された場合、早急に弁護士に相談して、取調べに対応するためのアドバイスを受けることが大切になります。
(2)勾留阻止に向けた活動を行います
逮捕された場合、その後に勾留という原則10日、最長20日間の身体拘束が行われることが少なくありません。しかし、実際には、勾留が不要であるにもかかわらず、勾留がなされることもあります。そのような場合には、弁護人が、勾留請求の不当性を主張します。ただ、勾留請求は、逮捕された時点から72時間以内に行わなければなりませんので、逮捕された場合は、少しでも早く弁護士に相談して、弁護人としての活動を開始してもらうことが必要です。
(3)社会との架け橋になります
逮捕は、留置施設に閉じ込められることを意味しますので、その瞬間から社会との接触を断たれ、家族や仕事のこと等、様々な社会生活上の不利益に見舞われるおそれがあります。
逮捕期間中は、原則として、弁護人以外の者と面会することはできませんので、弁護人は社会に開いた唯一の窓として、社会生活上の不利益を緩和する役割も果たします。
3 勾留された方のための弁護活動
勾留は、裁判官が逮捕に続きさらに身体拘束の理由と必要性があると判断した場合に認められる、原則10日間、最長20日間の身体拘束です。
しかし、身体拘束はそて自体が大きな不利益となりますので、勾留の理由と必要性がないと思われるときは、勾留の裁判の取消しを求めるほか、事情に応じて勾留の執行停止の申立てなどを行います。
また、勾留中も、逮捕中と同様に、取調べが行われますので、弁護人は引き続き、納得できない「供述調書」が作成されないようアドバイスを行います。併せて、勾留に伴う不利益を緩和することに努めるのも弁護人の役割となります。
これらの活動に加えて、示談が必要な事案においては、その成立に向けた活動も行います。
4 起訴された方のための弁護活動
(1)身体拘束からの解放に向けた活動
起訴されますと、身体拘束を解く保釈を裁判所に請求することができるようになります。保釈を認めてもらえれば、身体拘束に伴う不利益がなくなるだけでなく、裁判の準備もしやすくなります。しかし、保釈請求は必ず認められるわけではありません(平成26年時点での保釈率は21%です)。また、保釈を認めてもらうには、最低でも200万円程度の保釈保証金の用意も必要になります。
そこで、弁護人としては、事案毎に工夫を凝らして保釈請求を行います。
(2)裁判における活動
身に覚えのない罪で処罰されることがないよう、弁護活動を行うことが弁護人の役割であることは間違いありません。しかし、弁護人の役割はこれにとどまりません。
犯した罪にふさわしい刑罰が科されるように努めることも弁護人の重要な役割の一つです。
そのためには、ご本人の言い分を十分に聞くことは勿論、事件の背景にひそむ人間関係や社会状況にも目を配りつつ、何故、こういう犯罪が起きてしまったのかという事の実像に迫り、それを過不足なく裁判所に伝えることが必要です。当事務所の弁護士は、この様な弁護活動を実践するために、日々、研鑽を重ねております。